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随時更新するニュースのコーナーです(文責:水谷彰良)

 

【メールマガジン「ガゼッタ」配信の再開と新規購読登録フォームの設置】 New !

 

・協会メールマガジン「ガゼッタ」の配信を再開し、新たに購読を希望される方のための登録

 フォームを設置しました(3月6日)。 メールマガジン「ガゼッタ」登録はこちら

・高崎保男先生ご逝去のお知らせを掲載しました(2018年3月20日)。

 

【次回例会】

  

日本ロッシーニ協会例会(2018年12月18日&22日)のご案内 

  

 次回はロッシーニ没後150年を記念し、12月に2回の例会を次のように実施します(会場が異なりますのでご注意

ください)。どちらも会員とそのご家族は無料。その他の方は、当日1,000円を頂戴します。

 

日本ロッシーニ協会例会 (12月18日)

 

題目 研究発表会

日時 2018年12月18日(火)午後1時30分開始、午後4時45分終了予定 (会場は1時5分から入れます)  

会場 日比谷図書文化館4階スタジオプラス(小ホール)

【研究発表①】午後1時30分~3時

 井内美香: 「アルベルト・ゼッダの著書にみるロッシーニの声楽的特徴とその技術」 

【案内文】

 アルベルト・ゼッダ先生のご著書「DIVAGAZIONI ROSSINIANE ロッシーニ四方山話」より、今回は第5章を取り上げてご紹介します。第5章は「ロッシーニの声楽様式」「ロッシーニの歌唱法の技巧」「ロッシーニ・オペラの登場人物たち」という三つの項に分かれています。バロック・オペラの声楽様式に根ざしたロッシーニのオペラが、言葉を使いこなすことによって音楽に多彩な表現を与えながらも、それまでの時代と違って革命的であったこと。オペラ歌手がロッシーニのオペラを歌いこなすためにはどのような技巧を身につける必要があるのか。そして、ロッシーニがそれぞれの声の種類にどのようなことを望み、どのような役柄を与えていったのか。これらを具体的な例を使って説明していきます。

 

【研究発表②】午後3時15分~4時45分

 中山千夏子: 「グラントペラの成立に関わるスクリーブとロッシーニの接点」

【案内文】

 ロッシーニの《オリー伯爵》の台本を書いていることで知られるウジェーヌ・スクリーブは、19世紀前半においてヴォードヴィル、演劇、オペラ・コミック、オペラの4つの分野で時代を画した稀代の人気台本作家であった。ヴォードヴィル作家として出発したスクリーブが他の分野に進出しのし上がっていくちょうど階の時期に、彼は「ロッシーニがパリにやって来る!」という最旬ネタのヴォードヴィル《パリのロッシーニ、あるいは大宴会》を書いている。実はこの上演に先立って実際の大宴会が催されており、作品はリアルな宴会のパロディであるのみならず、当時のパリ社交界の音楽事情、音楽家たちの力関係などを反映した内容になっている。発表では、この作品に取り入れられた音楽史的事項に解説を加え、ロッシーニのパリ登場の背景、およびスクリーブが後にグラントペラを支える巨匠となりえた土台を探りたい。

 

日本ロッシーニ協会例会 (12月22日)

 

題目 行った!見た!聴いた! ロッシーニ2018メモリアルイヤー

期日 2018年12月22日(土)午後1時30分開始、午後4時45分終了予定 (会場は1時5分から入れます)  

会場 北沢タウンホール3Fミーティングルーム

講師 朝岡 聡

【案内文】

 ロッシーニ没後150年の2018年。ザルツブルク、ペーザロなど私が足を運んだコンサートやオペラの現場を中心にメモリアルイヤーを彩った様々な歌声や舞台を映像で御紹介すると共に、スカラ座博物館で開催された「スカラ座とロッシーニ展」の様子もリポートします。11月13日の命日から、むしろ来年に向けて盛り上がりも期待されるロッシーニの今を実感できるひとときにしたいと思います。

 

──2018年に実施済みの例会と、2017年に実施した8回の例会は、こちらをご覧ください。

 

 

日本ロッシーニ協会、役員改選のお知らせ(2018年1月1日)

 

ロッシーニ没後150年を機に、1月1日から新体制で記念年の活動を始めるべく役員の改選を行い、副会長に

朝岡聡さん、新たな運営委員にオペラ評論家/ジャーナリスト香原斗志さんが就任し、小畑恒夫さんの退任

が決まりました。小畑さんには、引き続き会員として協会に協力していただきます。

その結果2018年は次の8人による運営となります──会長:水谷彰良、副会長:朝岡聡、事務局長:金井紀子、

運営委員:天羽明惠 家田紀子 井内美香 香原斗志 阪口直子+前記役員3名(水谷・朝岡・金井)。 

2017年度は7人の新規入会者がおり、例会も各回40名を超えるご出席をいただきました。2018年にも8回の

例会を予定しております。

 

 

演奏会のお知らせ! 2018年1月6日(土)  浜離宮朝日ホール

日本ロッシーニ協会演奏会2018「巨匠アルベルト・ゼッダに捧ぐ!」 ──終了しました

 

 ロッシーニ没後150年最初の演奏会に、ロッシーニ歌手として世界の歌劇場で活躍する脇園彩が登場! 

 4人のベルカント歌手が恩師アルベルト・ゼッダに捧げる華麗な歌の競演!  

 

 公演名 日本ロッシーニ協会演奏会2018「巨匠アルベルト・ゼッダに捧ぐ!」 

 期日 2018年1月6日(土) 開演 14:00(開場13:30) 

 会場 浜離宮朝日ホール チケット 全席指定 ¥4,500 学生 ¥3,000  

 後援 イタリア文化会館、公益財団法人 日伊協会 マネージメント:ミリオンコンサート協会

 出演: 天羽 明惠(ソプラノ) 脇園 彩(メッゾソプラノ) 小堀 勇介(テノール) 

     中井 亮一(テノール)  金井 紀子(ピアノ) 朝岡 聡(ナビゲーター)

 [助演] 高橋 千夏(ソプラノ) 杉山 沙織(メッゾソプラノ) 工藤 翔陽(テノール)

      高橋 大(テノール)  市川 宥一郎(バリトン)  小野寺 光(バス)  田中 大揮(バス)

 

配布プログラムの複製を掲載しました!(1月10日)

 ──プログラム複製はこちらをご覧ください。  

 

 

 【訃報】(2018年)

 

声楽家・東京藝術大学名誉教授 嶺貞子先生

声楽家・東京藝術大学名誉教授の嶺貞子先生が10月13日、腎不全により亡くなられました(82歳)。イタリア歌曲の研究・演奏に生涯を捧げられ、2001年から日本ロッシーニ協会会員として活動を支えていただきました。心からご冥福をお祈り申し上げます。

                             (日本ロッシーニ協会)

ロッシーニ研究の碩学ブルーノ・カーリ先生

去る11月29日、イタリア音楽学の重鎮でロッシーニ研究の世界的権威ブルーノ・カーリ(Bruno Cagli)先生がローマで亡くなられました(享年81)。ロッシーニ全集も1973年にロッシーニ財団が発議し、カーリ、ゴセット、ゼッダの3人が編纂委員会を組織して始められました。音楽学者としての業績は多岐にわたり、ロッシーニ財団の芸術監督(ロッシーニ研究所の所長)を約40年間、ローマの国立サンタ・チェチーリア・アカデミーの総裁を延べ23年務めた他、さまざまな音楽団体、音楽祭、歌劇場の重要な役職を務めました。カーリ先生の逝去を悼み、心からご冥福をお祈り申し上げます。
          ROFサイトに掲載された訃報の写真をここに転載します。

 

【訃報】(2017年)

 

オペラ評論家・日本ロッシーニ協会初代会長 高崎保男先生

月刊誌『レコード芸術』の新譜月評で声楽曲やオペラを58年間担当されたオペラ評論家、日本ロッシーニ協会の初代会長でもありました高崎保男先生が、12月11日に亡くなられました。享年87。ご遺族の希望により公表を控えておりましたが、ここにお知らせいたします。告知が遅れましたことをお詫びするとともに、謹んでご冥福をお祈りいたします。

                       (2018年3月20日 日本ロッシーニ協会)

ロッシーニ研究の碩学フィリップ・ゴセット先生

19世紀イタリア・オペラの歴史文献学的批判考証の世界的権威、日本ロッシーニ協会名誉会長でもあるフィリップ・ゴセットPhilip Gossett先生が、6月13日ニューヨークのご自宅で亡くなられました(1941年9月27日生、75歳)。死因は進行性核上性麻痺PSP。1964年に報告された、10万人に約6人が発症する稀な難病とのこと。1979年に出版が開始されたロッシーニ財団全集版の編纂出版最高責任者を2006年まで務め、ヴェルディ全集の成立にも尽力されたゴセット先生は、3月に亡くなられたゼッダ先生と共に世界のオペラ界の至宝でした。ここにご逝去を悼み、心からご冥福をお祈り申し上げます。

 

マエストロ、アルベルト・ゼッダ先生

去る3月6日、ロッシーニ作品の研究と演奏の世界的権威、私たちの敬愛するアルベルト・ゼッダ先生がペーザロのご自宅で亡くなられました(1928年1月2日生、89歳)。ゼッダ先生の御逝去を悼み、心からご冥福をお祈り申し上げます。生前のゼッダ先生の活動と日本のオペラ界への貢献に深く感謝し、ここに御礼申し上げます。 ゼッダ先生の奥様クリスティーナさんに、日本ロッシーニ協会からイタリア語の弔電をお送りしました。墓地はペーザロのCimitero di Pesaro、マーリオ・デル・モナコと作曲家リッツ・オルトラーノの近くに埋葬されると報道されています。                       

 

追記:ゼッダ先生の祭壇

8月1日配信「ガゼッタ」第163号に、アルベルト・ゼッダ先生が「ペーザロの墓地のマーリオ・デル・モナコの墓のそばに眠っているはず」と書き、墓参りをお勧めしました。け れども現地に行くと、「墓の準備が間に合わず、音楽院内のロッシーニの御堂(Tempio Rossiniano)に祭壇を設けて骨壺を安置している」とレート・ミュラーから教えられました。墓地を訪ねた皆さまにお詫びいたします。

日本人の感覚からすると、花が手向けられず骨壺だけ置かれているのは寂しいですね。 筆者撮影の写真がピンぼけなので、音喜多さん撮影の写真を転載します。  (水谷彰良)

 

 

【ロッシーニ新譜】 2017年配信のメールマガジンより 

ロッシーニ:歌劇《ウィリアム・テル(ギヨーム・テル)》

ダミアーノ・ミキエレット演出、アントーニオ・パッパーノ指揮ロイヤル・オペラ管弦楽団、同合唱団 ジェラルド・フィンリー(Br/ギヨーム・テル)、マリン・ビストレーム(S/マティルデ)、ジョン・オズボーン(T/アルノルド)、エンケレイダ・シュコザ(Ms/エドヴィージュ)、ソフィア・フォミナ(S/ジェミ)、エリック・ハーフヴァーソン(B/メルクタール)、ニコラ・クルジャル(B/ゲスレル) 収録:2015年7月ロンドン Opus Arte OA1205D (DVD2枚組)、OABD7195D (BD)

 2015年7月25日配信のガゼッタ第106号にも記した、初日の第3幕に前例のない5分間のブーイングが続いて劇場側が弁明の声明を出す騒ぎになったロイヤル・オペラハウス《ギヨーム・テル》の上演映像が発売されました。ナチス風デザインの将校たちが女性を集団レイプする問題のバレエ・シーンは演出家ミキエレットが変更を余儀なくされ、このソフトに見る微温的表現に修正されています。その可否はともあれ、序曲の途中で舞台の片隅にいるジェミがおもちゃの兵隊で遊び、コミック本ウィリアム・テル物語の世界に入り込む演出に見どころ満載です。劇の本編は現代衣装のモダンな舞台で、土の床に椅子とテーブルを置き、第2幕以降は失われた自由を象徴する倒れた巨木の前で演じられます。コミック本のテルが劇に絡みすぎるのは目障りでも各人物の心模様が巧みに表情と演技に反映され、圧政下の民衆の恐怖、悲しみと怒りがクローズアップされ、全体に良く考え抜かれた演出と言えます。 歌手はアルノルド役オズボーンの発声に危うさがあり、肉体的にも締まりがありません。マティルデ役のビストレームもドラマティックな歌唱に終始し、繊細さや音程の正確さにやや欠けますが、テル役のフィンリーが生真面目な風貌で演劇的に優れ、ジェミ役のフォミナもやんちゃな子供ぶり…人間ドラマとして見応え充分です。日本語字幕もあり、2013年ロッシーニ音楽祭上演映像(Decca)と共にお薦めです。

 

マリーナ・レベカ/アモール・ファターレ(ロッシーニ・アリア集)Marina Rebeka/Amor fatale (Rossini Arias)

(《モイーズとファラオン》《オテッロ》《セミラーミデ》《マオメット2世》《ギヨーム・テル》《アルミーダ》《湖の女》より全9曲) マリーナ・レベカ(S)、マルコ・アルミリアート指揮ミュンヒェン放送管弦楽団、バイエルン放送合唱団 録音:2016年12月、2017年5月ミュンヒェン BR Klassik 900321 (CD)

 ラトビア生まれのマリーナ・レベカはROFで頭角を現し、2008年ROF来日公演《マオメット2世》アンナでも記憶に新しい逸材。これは現在ヴィオレッタ歌手として活躍するレベカのロッシーニ歌手としての資質を問い直すアルバムで、卓抜なアジリタはセミラーミデとアルミーダ、暗めの声の魅力はデズデーモナに聴き取れます。 《ギヨーム・テル》マティルデのエールと《湖の女》ロンド・フィナーレは、軽やかで爽快な演奏に慣れた者に重厚すぎる歌唱ですが、こうしたマリア・カラス風アプローチも斬新で圧倒的印象を残します。指揮者マルコ・アルミリアートの解釈がやや大仰なのが問題ですが、一聴の価値あるアルバムです。

 

ロッシーニ:《スタバト・マーテル》

アルベルト・ゼッダ指揮ゲント・フランデレン歌劇場交響楽団、同合唱団 セレーナ・ファルノッキア(S)、アンナ・ボニタティブス(Ms)、イズマエル・ジョルディ(T)、アレックス・エスポージト(B)録音2011年1月15日ゲント(ライヴ) Dynamic CDS7799 (CD)

 故アルベルト・ゼッダ先生はベルギーのゲントにあるフランデレン歌劇場で何度もロッシーニのオペラを指揮しています。このディスクは同劇場に《セミラーミデ》(DVDあり) で出演した際に行った演奏会のライヴ録音で、《スタバト・マーテル》のみをCD1枚に収めています(演奏時間約56分)。個人的には、4人のソリストがオペラティックな解釈でソロと二重唱を歌っているのが気に入りません。3曲目の女声デュオ〈Quis est homo〉にそれが顕著で、ゼッダ先生はこれで満足だったのだろうか、と腑に落ちません…「違うだろ 違うだろー!」と内心思っているのでは? 劇場風のドラマティックで身振りの大きな歌唱が好きな人にはお薦めですが、合唱と管弦楽ともにやや雑で、筆者にとって満足のいく演奏ではありません。

 

ロッシーニ:歌劇《ビアンカとファッリエーロ》

アントニーノ・フォリアーニ指揮ヴィルトゥオージ・ブルネンシス、ポズナン・カメラータ・バッハ合唱団 チンツィア・フォルテ(S/ビアンカ)、ヴィクトリア・ヤロヴァヤ(Ms/ファッリエーロ)、ケネス・ターヴァー(T/コンタレーノ)、バウルザン・アンデルザノフ(B/カペッリオ)、マルシン・バナシュ(T/ロレンダーノ)、マリーナ・ヴィオッティ(Ms/コスタンツァ)ほか 2015年7月ヴィルトバートのロッシーニ音楽祭ライヴ録音 Naxos 8660407-09 (CD3枚組)

 一昨年のヴィルトバートのロッシーニ音楽祭上演のライヴ録音。ここ数年着実に成長を遂げる指揮者アントニーノ・フォリアーニが手兵ヴィルトゥオージ・ブルネンシスから創意と変化に富む演奏を導き、ときに強引にテンポを煽ってスリリングな瞬間を現出します。ファッリエーロ役のロシア人ヴィクトリア・ヤロヴァヤ(Victoria Yarovaya)が若々しい声と切れの良いアジリタで光ります。ブックレットの略歴を見ると2009年ROFの若者公演《ランスへの旅》でメリベーアを歌い、翌2010年の《デメートリオとポリービオ》にデメートリオ役で抜擢されています。どうりで良い訳だ…でもROFには違う名前(ザイチェヴァZaytseva)で出ていました。不思議です。 ビアンカ役のチンツィア・フォルテも見事なコロラトゥーラを聴かせ、この音楽祭には珍しく高水準のソプラノとメッゾソプラノの起用となっています。コンタレーノ役のテノールは常連ケネス・ターヴァー。声が筆者の好みでなく、とくに高い評価はしませんが、進歩の跡が聴き取れます。ロッシーニ・ファンにお薦めですが、2005年ROF上演映像を持つ人が3枚組のCDを買う必要があるかどうか…そこがビミョーです。

ルイージ・レニャーニ:ロッシーニ変奏曲集

(《アルジェのイタリア女》大序曲op.2、《ギヨーム・テル》序曲op.202 [抜粋]、《アルジェのイタリア女》の二重唱による変奏曲op.5、同・カヴァティーナによる変奏曲op.7、同・合唱とロンドによる変奏曲op.8、《湖の女》のカヴァティーナによる変奏曲op.18、《ゼルミーラ》のカヴァティーナによる変奏曲op.21,《ラ・チェネレントラ》のロンド・フィナーレによる変奏曲op.30他、全10曲) マルチェッロ・ファントーニ(ギター)録音:2016年8月ノヴァーラ Naxos 8573721 (CD)

 パガニーニの友人でもあるルイージ・レニャーニ(Luigi Legnani,1790-1870)は1790年フェッラーラに生まれ、テノール歌手の活動を経てギタリストに転じました。ヨーロッパ各地でコンサート活動を行い、1850年に引退するまでギター曲を中心に260余の作品を出版しましたが、いったん忘れられ、20世紀末に再評価が始まったばかり。ここ数年さまざまな曲集が録音され、中でも今回発売された「ロッシーニ変奏曲集」はお薦めです。 《アルジェのイタリア女》大序曲(作品2)のようにギターへの置き換えがメインの曲もありますが、ロッシーニの旋律を主題とする変奏曲には原曲を知る者にしか判らない面白さ、変奏と編曲の妙があります。筆者は作品番号を持たない《アルミーダ》の二重唱に基づく変奏曲(トラック[46]-[55])に、同時代に稀有な歌心とカンタービレの美しさ、超絶技巧を称えられたレニャーニの才能を感得しました。ロッシーニ・ファンのために作られたみたいなアルバムです!

 

ロッシーニ:歌劇《セビーリャの理髪師》

アナベル・アーデン演出、エンリケ・マッツォーラ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、グラインドボーン合唱団 ダニエル・ドゥ・ニース(S/ロジーナ)、テイラー・ステイトン(T/アルマヴィーヴァ伯爵)、ビョルン・ビュルガー(Br/フィガロ)、アレッサンドロ・コルベッリ(B/バルトロ)、クリストフォロス・スタムボリス(B/バジーリオ)ジャニス・ケリー(Ms/ベルタ) 収録:2016年5-6月 Opus Arte OA 1238D (DVD), OABD7218D (BD)

 2016年グラインドボーン音楽祭《セビーリャの理髪師》の上演映像がDVDとBDで発売されました。昨年11月にNHK-BSで放映されたので、ご覧の方も多いことでしょう。アナベル・アーデンの演出はモダンでお洒落な室内演劇風の舞台。小ネタを駆使して観客の笑いを誘い、伯爵もプレスリーみたいなもみあげです。古風で常套的な舞台ではなく、芝居としても充分楽しめます。  特色は人気ソプラノ、ダニエル・ドゥ・ニースの起用にあります。本来の声種と違っても〈今の歌声〉を原調で歌い、第2幕にロッシーニが1819年ヴェネツィア再演で作曲した追加のレチタティーヴォとアリア〈ああ、もし本当なら〉が歌われます。これはロジーナを主役とする措置でもあり、伯爵のアリア〈もう逆らうのをやめろ〉はカットされています。ヴァリエーションも個性的で魅力たっぷり。アルマヴィーヴァ伯爵とフィガロも若々しく、覇気があります。伯爵役のテイラー・ステイトンはテノーレ・レッジェーロとは異なるリリックな声質ながら、メトロポリタン歌劇場を含む世界の歌劇場で同役を歌っています。フィガロ役のビョルン・ビュルガーも切れの良い歌唱で新鮮な印象。エンリケ・マッツォーラの指揮も含め、ROFの歌唱や解釈と一線を画すグラインドボーンならではの「初演200年記念公演」としてお薦めです。

 

ロッシーニ:歌劇《ブルグントのアデライデ》

ルチアーノ・アコチェッラ指揮ヴィルトゥオージ・ブルネンシス, ポズナン・カメラータ・バッハ合唱団 マルガリータ・グリツコヴァ(Ms/オットーネ)、エカテリーナ・サドフニコヴァ(S/アデライデ)、バウルザン・アンデルザノフ(B-Br/ベレンガリオ)、ミリアム・ズビエータ(S/エウリーチェ)、ゲオルグ・ヴラッド(T/アデルベルト)、渡辺康(T/イロルド)、コルネリウス・レーヴェンベルク(Br/エルネスト) 録音:2014年7月バート・ヴィルトバート〉ライヴ Naxos 8660401 (CD2枚組)

 今年初演200年を迎えたロッシーニ《ブルグントのアデライデ》の、2014年ヴィルトバートのロッシーニ音楽祭ライヴ録音が発売されました。歌手は知名度が乏しくても、オットーネを歌うマルガリータ・グリツコヴァは2012年にロジーナ役でウィーン国立歌劇場デビューした逸材、アデライデ役エカテリーナ・サドフニコヴァも高音域のコロラトゥーラが出色です。本家ロッシーニ音楽祭への対抗意識から独自にフローリアン・バウアー校訂版を用い、第1幕ベレンガリオのアリアの後にエウリーチェの差し替えアリアも歌われますので、マニアックなファンにお薦めです。

 

マリー・ニコル=ルミュー/ロッシーニ:オペラ・アリア集

(《アルジェのイタリア女》《タンクレーディ》《試金石》《セミラーミデ》《マティルデ・ディ・シャブラン》《泥棒かささぎ》《セビーリャの理髪師》よりアリアと二重唱、《2匹の猫の滑稽な二重唱》。全10曲) マリー・ニコル=ルミュー(Contralto)[パトリツィア・チョーフィ(S)/ジュリアン・ヴェロネーズ(B)助演] エンリケ・マッツォーラ指揮モンペリエ=ラングドック=ルション国立管弦楽団&合唱団 録音:2015年12月モンペリエ(ライヴ) ワーナーミュージックジャパン WPCS 13631(国内盤CD)

 コントラルト、マリー・ニコル=ルミューの新譜「ロッシーニ:オペラ・アリア集」の国内盤が3月末にリリースされました。前記七つのオペラのアリアと二重唱9曲と《2匹の猫の滑稽な二重唱》をライヴ収録。バロック・オペラのカストラート役で鍛えられたニコル=ルミューの超絶技巧はいつもながら見事ですが、著名なオーボエ奏者ダヴィット・ヴァルテルが管弦楽伴奏編曲した《2匹の猫の滑稽な二重唱》も出色です。

 

ロッシーニ:歌劇《アルミーダ》ゲント・フランデレン歌劇場上演DVD

2015年11月ゲント・フランデレン歌劇場上演ライヴ Dynamic 37763 (DVD2枚組), 57763 (BD)マリアム・クレマン演出、アルベルト・ゼッダ指揮ゲント・フランデレン歌劇場管弦楽団、同合唱団 カルメン・ロメウ(S/アルミーダ)、エネア・スカーラ(T/リナルド)、ロバート・マクファーソン(T/ジェルナンド&ウバルド)、ダリオ・シュムンク(T/ゴッフレード&カルロ)、レオナルド・ベルナード(B/イドラオテ&アスタロッテ)、アーダム・スミス(T/エウスタツィオ)

 1817年11月9日ナポリのサン・カルロ劇場で初演された《アルミーダ》の上演映像です。女性演出家マリアム・クレマンは第1幕の背景布に現代の競技場を描き、舞台を陸上競技のトラックとしています。でも合唱団は血まみれの十字軍騎士で、ダッチワイフを弄んだりするのでわけが判りません。アルミーダ役のカルメン・ロメウは2014年ROF《アルミーダ》を主演しましたので、ご記憶の方も多いでしょう。美貌と柔軟な喉に恵まれ、激烈な歌唱も見事です。リナルド役エネア・スカーラは気品ある英雄的歌唱でハイDの高音を決めます。ゴッフレードとカルロ2役のダリオ・シュムンクは力強い発声のテノール、ジェルナンドとウバルド2役のロバート・マクファーソンも抒情的な声の持ち主です。日本語字幕付き。

 

ロッシーニ:歌劇《イングランドの女王エリザベッタ》上演DVD

2015年10月サッサリ市立劇場上演ライヴ Bongiovanni AB 20032 (DVD)マルコ・スパーダ演出、フェデリーコ・フェッリ指揮「マリアリーザ・デ・カローリス」コンサート協会管弦楽団、同合唱団 シルヴィア・ダッラ・ベネッタ(S/エリザベッタ)、アレッサンドロ・リベラトーレ(T/レイチェステル)、サンドラ・パストラーナ(S/マティルデ)、オレスヤ・ベルマン・チュプリノヴァ(Ms/エンリーコ)、ダヴィド・アレグレト(T/ノルフォルク)、ネストル・ロサン(T/グリエルモ) 

 初演200年を記念してサッサリ市立劇場が2015年に行った上演のライヴ映像。演出家マルコ・スパーダの舞台は経費節約の現代化で、イギリス国旗の色彩を建物に重ねて背景とし、階段、椅子、仕切り壁のみの装置もいたって簡素。歌手は馴染みのない顔ぶれでも各地でロッシーニ作品を歌っており、全員が迫力ある歌唱を繰り広げます。録音の声の感触が耳ざわりで日本語字幕もありませんが、1985年トリノ王立劇場に続いて30年ぶりの上演映像とあれば買う価値があります。

 

 

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