ロッシーニの書簡とドキュメント(水谷彰良コレクション)

 

新規掲載のPDF原稿(2020年より)

   2020年9月18日  ── 「ロッシーニの自筆書簡  エマヌエーレ・ペトローマジ宛、1846年5月18日付」 

               「 ロッシーニの自筆書簡  ピエートロ・バルバーイア宛、1866年4月27日付」 

   2022年 2月 6日  ── 「ロッシーニの自筆書簡  ローマ総督ベルネッティ宛、1821年2月27日付」

            「 ロッシーニの自筆書簡  オデオン劇場監督宛、1826年9月18日付」  

            「 ロッシーニの自筆名刺(日付無し)」 

   2025年5月19日  ──  この頁から、ロッシーニ以外の作曲家、歌手などの自筆書簡を新たに設置した

           「その他の自筆資料」のページに移動

      10月 9日  ──  この頁の配置と掲載物を読みやすく変更 

 

ロッシーニの書簡集

左上から、『G.ロッシーニの未出版で貴重な書簡集』(1892年)、『G.ロッシーニ書簡集』(1902年)、ロッシーニ財団『書簡とドキュメント集』の第1巻(1992年)、第2巻(1996年)、第3巻(2000年)、第3a巻(2004年)、第4巻(2016年)、第5巻(2021年)

 

 ロッシーニ書簡集の過去と現在

 

ロッシーニ書簡集の過去と現在  水谷 彰良

(日本ロッシーニ協会ホームページ用の書き下ろし。2012年11月。2025年10月増補改訂) 

 

ロッシーニ書簡の出版

 ジョアキーノ・ロッシーニがその生涯に何通の手紙を書いたのか想像もつかないが、筆者が把握するだけでも700を超えている。後述するように1892年にまとまった書簡集が出版されるまでロッシーニの手紙は主に音楽新聞、雑誌、ロッシーニ伝への転載を通じて知られ、19世紀半ばにはオリジナルの複製も登場している(例:1855年に出版されたミルクール『ロッシーニ伝』の付録。右図)

 自筆書簡の複製は筆跡によって真贋の特定が可能なだけでなく、オリジナルを消失してもこれが確かに存在したことの証明となる(自筆楽譜の複製も同様で、ロッシーニ作品には19世紀のファクシミリ複製のみで存在を確認できる例がある)。これに対し、印刷物への文章転載は第三者による活字への置き換えのためオリジナルの内容を正しく反映するとはかぎらず、縮小、改変、誤読、さらには贋作を含む問題をはらんでいる。現在進行中のロッシーニ財団による『書簡とドキュメント集』(後出)は、こうした諸問題の解決をも意図しており、ロッシーニ研究の重要な基礎資料となるものである。とはいえ『書簡とドキュメント』の完結にはなお数十年の歳月を要するため、当面の研究には過去の書簡集の使用も不可避となる。そこで次に、過去に刊行されたまとまった書簡集から話を始めたい。 

 19世紀末~20世紀に出版されたロッシーニ書簡集

 19世紀に出版された重要なロッシーニ伝の一つ、アントーニオ・ザノリーニ著『ロッシーニ伝』(Antonio Zanolini, Biografía di Gioachino Rossini, Bologna, Nicola Zanichelli, 1875)には、自筆書簡の複製1点のほか、付録に21の書簡のお文面が転載されている。けれども本格的な蒐集と調査に基づく書簡集の出版は、作曲者生誕100周年の1892年イモラで刊行されたG・マッザティンティ編『G.ロッシーニの未出版で貴重な書簡集(Lettere inedite e rare di G. Rossini)』が最初である(196通の手紙を掲載。右図)。編者ジュゼッペ・マッザティンティ(Giuseppe Mazzatinti, 1855-1906)は1887年からフォルリの市立図書館長を務め、ロッシーニ以外にもアルフィエーリやマッツィーニの書簡集を編纂出版した書誌学者である。 

 マッザティンティは10年後の1902年、2人の共編者と作成した増補新版をフィレンツェで出版した(右図)。掲載書簡は358通に増え、これが20世紀における基本文献となり、1975年に復刻版、1980年に新版が出版されている。ロッシーニ生誕200周年の1992年にはこれをベースにしたエンリーコ・カスティリオーネ編のロッシーニ書簡集も出版され、掲載された手紙の総数も6通増えて364通となった(下図)。とはいえこの段階で未掲載の自筆書簡が多数確認されており、一連の書簡集はもはや過去のものとなっただけでなく、校訂上の問題も浮上していた。マッザティンティ編の書簡集には明らかに贋作と思われるものや、典拠や初出段階の改竄を伴う手紙が含まれていたからである。未掲載の手紙も数百にのぼり、筆者も1992年の時点で書簡集に未掲載のロッシーニ自筆書簡7通を所蔵していたほどだ。

 

 日本におけるロッシーニ自筆資料

日本におけるロッシーニ自筆資料の所蔵

 Gli autografi rossiniani conservati in Giappone [a cura di Akira Mizutani]  

 

水谷彰良所蔵のロッシーニ自筆書簡(1821~1838年の5通) 

 

水谷彰良所蔵のロッシーニ自筆書簡(1846~1866年の6通) 

 

水谷彰良所蔵のロッシーニ自筆書簡(1866年の2通)、自筆名刺、妻オランプの書簡

 

ロッシーニと妻オランプの書簡(水谷彰良コレクションより)

 

まえがき(2022年2月増補改訂)

  ジョアキーノ・ロッシーニの書簡やドキュメントの系統的調査研究はロッシーニ財団が行っており、その成果は『書簡とドキュメント集(Lettere e documenti)』として順次公刊されています。これはブルーノ・カーリ(Bruno Cagli)とセルジョ・ラーニ(Sergio Ragni)を共編者に、現存するすべてのロッシーニ書簡と関連文書史料を蒐集網羅する企画で、出版は1992年刊の第1巻(1792年2月29日~1822年3月17日)に始まり、1996年に第2巻(1822年3月17日~1826年10月11日)、2000年に第3巻(1826年10月17日~1830年12月31日)、2004年に第3a巻「両親への手紙」(1812年2月18日~1830年6月22日)、2016年に第4巻(1831年1月5日~1835年12月28日以降)が刊行されました。

 筆者は現時点でロッシーニの書簡を14通、妻オランプ・ペリシエの書簡を1通所蔵しており、ロッシーニ財団に申告して複製も提供済みですが、大半は『書簡とドキュメント』第5巻以降の掲載となります(補遺の巻にも掲載予定)。それゆえここに複製を掲載し、研究資料に供したいと思います。宛名や文面に判読不明の部分もあり、完全な転記や詳細は『書簡とドキュメント』の出版を待たねばなりませんが、現時点で知りうるところを簡単な解説として付しました。複製とコメントは、下のロッシーニの自筆書簡の入口から個々にクリックしてご覧ください。

  

【所蔵目録】

  ロッシーニの書簡 

日付(書かれた都市)

ロッシーニ自筆の有無

メモ

 1821227日(ローマ)

 すべて自筆(署名Gioacchino

 Rossini

 ローマ総督[トンマーゾ・ベルネッティ]宛、イタリア語

 1824910日(パリ)

 本文は代筆。署名(G.Rossini

 のみ自筆

 パリの[判読できず]伯爵夫人宛。フランス語(代筆者

 不詳)

 1826918日(パリ)

 すべて自筆(署名G.Rossini

 パリのオデオン劇場監督宛、フランス語

 18261013日(パリ)

 本文は代筆。署名(G.Rossini

 のみ自筆

 パリの評論家サウロ氏宛。フランス語(王立イタリア

 劇場支配人カルロ・セヴェリーニによる代筆)

 183823日(ミラーノ)

 すべて自筆(署名Rossini

 ボローニャのアンドレーア・ゲディーニ宛。イタリア語

 1846214日(ボローニャ)

 すべて自筆(署名G.Rossini

 テーラモのジュゼッペ・ヴァーリア宛。イタリア語

 1846518日(ボローニャ)

 すべて自筆(署名Gioachino

 Rossini

 ナポリのエマヌエーレ・ペトローマジ宛。イタリア語

 1856114日(パリ)

 すべて自筆(署名G.Rossini

 パレルモのフィリッポ・サントカナーレ宛。イタリア語

 1859116日(パリ)

 すべて自筆(署名G.Rossini

 ルーゴのフェルディナンド・リッチ宛。イタリア語

 1860824日(パシー)

 すべて自筆(署名G.Rossini

 [住所等の記載なし] スティーヴンス宛。フランス語

 1861420日[第三者の

 記入](パリ)

 本文は代筆。署名(G.Rossini

 のみ自筆

 宛先不詳。フランス語(代筆者不詳)

 1866427日(パリ)

 すべて自筆(署名G.Rossini

 ナポリのピエートロ・バルバーイア宛。イタリア語

 186656日(パリ)

 すべて自筆(署名Rossini

 ロンドンのベネディクト宛。イタリア語

 186681日(パシー)

 すべて自筆(署名Rossini

 [ジュゼッペ伯爵宛] イタリア語

 

  オランプ・ペリシエの書簡

 日付なし 1855-58年] (パリ)

 全文自筆(署名O. Rossini

 パリの薬剤師ミアール宛。フランス語

 

書簡の複製

 

※同時代の作曲家と同時代の歌手の書簡は「その他の自筆資料」のページに移動しました

 (2025年5月19日)

 

 

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